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書道教室の二年間で学んだこと

6/17のブログです。


こんばんは。

法善寺住職の中山龍之介です。


ついに書道教室も来週で卒業となりました。今日は卒業課題のレポートを提出してきました。


提出したものは手書きでしたので思ったよりも時間がかかってとても疲れました。先日のブログで公表した通り、今日はそのレポートを公開させて頂こうと思います。レポートというよりも、感想文に近いものですがご一読いただけると幸いです。

写真は、2年前の体験入学時に頂いた便せんです。こんな字が書けるようになりたいなと思ったことを覚えています。


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二年間で学んだこと

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私は令和元年の五月に入学しました。通い始める前は、こんな自分が師範養成科に通って大丈夫だろうかと心配していましたが、先生方や他の生徒さんたちのおかげで無事に卒業を迎えることが出来ました。


この二年間、日々順調に成長できたわけではありません。続けてもなかなか結果が出ず、自分の思うように成長できないことばかりでした。ただそんな中でも、書道に対する意識や技術が急激に上がるきっかけも沢山ありました。今回のレポートでは、そういったきっかけについて綴っていきます。


私はほぼ初心者の状態で入学しました。最初の内は競書にまで気を回す余裕がなく、法帖の九成宮醴泉銘や蘭亭序をこなすのに必死でした。また、怠けて書道教室の時間でしか筆を握っていませんでしたが、他の生徒さんたちが当たり前のようにご自宅で書いたものを何枚も教室にご持参されている姿を見て、私自身も自宅で筆を握るようになりました。自宅で書くようになってから、段々と筆に慣れていきました。


通い始めて少し経ってから、A先生に『毎日一枚で良いので、競書の楷書を書いてみましょう』と言われました。言われるがまま二ヶ月ほど、書いたものを教室に持っていっては先生に見ていただく、ということを続けました。毎日書くのは大変でしたが、繰り返すうちに自分でも上達していくのが分かり、習慣の大切さに気付けました。また、B先生に『雁塔聖教序の全臨をしてきたら見ますよ』と言われ、挑戦したこともありました。量が多かったので全臨が終わる前に大溪先生は退職されてしまいましたが、書いたことで技術が向上しました。自分の上達が分かることで、書道が楽しくなっていきました。


入学から半年ほど経ったころ、院内書作展のお話がありました。まだ通い始めて間がなく自分の技術にも全く自信がなかったので迷いましたが、挑戦することにしました。結果的には、翌年同時期に父が亡くなり忙殺されておりましたので、唯一無二のタイミングでした。


院内書作展では初めて、自分の身長よりも大きな紙に書く経験をしました。終始お手本を写すのに必死で、そこから先に進むことがなかなかできませんでしたが、それでもとても良い勉強になりました。流れの作り方、空間の取り方、逆筆による渇筆の出し方、他にも創作に関することを多く学べました。これらを自在に使いこなせるところまではまだまだ至っていませんが、以降の自分の作品が変化していくのを感じました。また、そこからは出来るだけ自分で考えて創作するよう努めています。


院内書作展が終わるころ、B先生による文字考ゼミがあり、日頃の競書での説明でB先生が話される字の成り立ちなどが興味深かったので、通うことにしました。ゼミでは字の成り立ちはもちろん、かつて慣用として使われていた文字、置き換えられるパーツ、草書の由来などについて学べました。私は僧侶と言う職業柄、古い書物に触れることも多いのですが、ゼミに通ったことで読める字が一気に増えました。字が分かるのがこんなにも面白いのか、と自分でも驚きました。仕事にも直結したことで、書道を学ぶ意義がまた一つ増えました。


法帖で平仮名を学んだことも、成長への大きなきっかけでした。平仮名は漢字が基になっているということは知っていましたが、どの字が基になっているのかをきちんと学べたことで、平仮名の書き方が変わっていきました。また、大溪洗耳先生の字を臨書していく内に、自分の中にある平仮名の形に対する固定概念が壊されていくのを感じられて面白かったです。平仮名を学べたことで、自分のかな交じり作品の幅が広がりました。


卒業制作の蘭亭序の全臨は、想像以上に大変で身も心も疲弊しました。ペースを掴むまでの数枚が特に大変で、膝や腰が痛くなってしまいましたが、無理のない姿勢を体が理解することで何とか書き終えることが出来ました。それまで様々な法帖を臨書した中で、先生方からどういった点を注視すべきかをご指導いただいておりましたので、その経験が生きました。また、私は字が大きくなり字間を大きく空ける癖があるので、最初は全紙十一行に収めきることが出来ませんでした。反対に、それを意識するあまり、小さい字を詰めすぎて十行で収まってしまうこともありました。様々な試行錯誤を繰り返しながら、程よい大きさと字間が体に染みつき、最終的には十一行で収めることが出来ました。蘭亭序の全臨を通して、頭で理解するだけでなく、実際に筆を握る大切さを教えてもらいました。


まだまだここには書き切れませんが、この二年間、先生方や他の生徒さんに学びのきっかけをたくさん頂けました。このような有難い環境で勉強させて頂けたことに、本当に感謝しております。研究科に進んでからも、師範養成科で学んだことを大切にしながら、更なる研鑽を積んでいきます。



南無阿弥陀仏

 

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