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大溪洗耳イズム


こんばんは。

法善寺副住職の中山龍之介です。


本日はお彼岸五日目。いよいよ後半戦と言ったところでしょうか。法善寺では、昨日よりは少なめでしたが、それでも想定よりも多くの方がお参りに来てくださいました。お彼岸やお盆やお正月の時期には、ご家族でお参りにいらっしゃる方も多くて、御先祖様を敬う心、そしてそれが受け継がれていくことに感銘を受けます。


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表彰式で感じた悔しさ

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そして、個人的な話になりますが、夕方からは通っている『日本教育書道芸術院』の書作展に出展した方々による懇親会に行ってきました。コロナの影響で懇親会に来られなかった方もいらっしゃるそうですが、それでもたくさんの方々がいらっしゃっていて、改めて私が通っている書道教室の熱量を感じることが出来ました。


私は『秀作』を受賞した方々を代表して、表彰式のリハーサルのため少し早い時間に集合しました。昨日も書きましたが、『秀作』と言っても簡単に言えば参加賞ですから、一番下の賞になります。当然、表彰式のリハーサルには大賞(私からすれば雲の上の存在)、準大賞、後援の東京新聞賞などなど、そうそうたる方々がいらっしゃっておりました。


そんな中に混じらせていただき、恥ずかしいのと、正直悔しい気持ちになりました。審査に文句を言うつもりは全くないですし、やっぱり上の方の賞を受賞された方々は、素晴らしい作品を作られていたし努力もされていました。『勉強会の度にめちゃくちゃ書いてきてるし、めちゃくちゃ上手いし、なんだこの人』と思っていた方は東京新聞賞でしたし、心から納得の審査です。


だからこそ、私が秀作なのは、秀作以上に値する作品を作れなかったということですし、何でもう少し頑張れなかったのかな、と終わってみると思います。確かに作品制作期間中は腰や股関節が痛くなってきてかなりキツかったですが、それにカマかけて自分自身を追い込めなかったのも事実です。


院内書作展は、私が今所属している師範養成科という二年間のプログラムの間でしか出展できない展示会です。私は通い始めてまだ一年未満なので、来年も出展することが出来ます。お金もかかることなので簡単には言えませんが、来年リベンジしたいなという気持ちになっています。それでも秀作だったら、もう一回秀作を代表して表彰状を受け取りに行きます。笑顔で。


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創立者・大溪洗耳イズム

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懇親会は、まず表彰式があって、そこからは歓談時間でした。いつもの師範養成科の先生方だけでなく、学院長や専門科・研究科(師範養成科を卒業した方が行くクラス)の先生方もいらっしゃっていました。同じテーブルには専門科と研究科の先生がそれぞれ一人ずついらっしゃり、普段お話しできない方たちなのでたくさん話をしてきました。


お二人とも、最初は日本教育書道芸術院には生徒として入られたそうで、あれよあれよと気付いたら教える立場になっていたと仰っていました。様々な話の中で、特に印象的だったのは、専門科の先生がおっしゃっていた創立者・大溪洗耳(おおたにせんじ)先生のお話です。


大溪洗耳先生は17年ほど前に亡くなっている方なので、長く学院にいらっしゃる方しか直接お話したことは無いと思いますが、専門科の先生はそんな貴重なお一人でした。晩年は体を悪くされながらもお酒を止めなかったりで、かなり破天荒な方だったようですが、ご高齢になっても書が変化・進化し続けていて、一年一年書く作品が違っていたと仰っていました。


これってなかなか出来ないことだと思います。人間は変化をあまり好まない習性がありますが、それは年を取れば取るほど顕著に表れます。ましてや、大溪洗耳先生の様に、書を極めた存在にもかかわらず、自分の現在地に満足せずに変化を恐れなかったというのは、書の奥深さと、大溪洗耳先生の凄まじい向上心と探求心が伝わってきます。私もそうなりたいなと思いますが、大溪先生と同じ年になった時、同じように自分を変えていけるかと考えると、全く自信がありません。もちろん私はお会いしたことはありませんが、学院に残っている大溪洗耳イズムに触れる度に、この学院に通ってよかったなと思います。


ちなみに他の先生に、私が浄土真宗東本願寺派の僧侶であると伝えると、なんと大溪洗耳

先生のお墓は浅草の東本願寺にあると言われました。なんという御縁でしょうか。明日の東本願寺学院の卒業式の前に、時間があればお参りに行ってこようと思います。


それでは明日は東本願寺学院の卒業式で答辞です。これは、書道とは逆に首席ということですので、今度は胸を張ってやってやります!今日の分までエッヘンしてきます!



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