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本願寺学院2年目 後期レポート公開②

こんにちは。

法善寺副住職の中山龍之介です。


二日前のブログと、法善寺のLINEで、『4日連続で本願寺学院のレポートを公開しておきます』と言っておきながら、それを無視して昨日ふつーにブログを書いてしまいました。『4日間、少し楽できるかな』と思っていたのに、なぜか自ら厳しい道を選んでいました。


はい。


では、本願寺学院のレポート公開に戻ろうと思います!今日は火曜日の『真宗学』のレポートで、テーマは『正信偈について』です。


では、ご覧ください~。

 

正信偈について

本科二年 中山龍之介


浄土真宗で一番称えられる『正信念仏偈(正信偈)』は、親鸞聖人が著された『教行信証』の行巻に登場する偈文であり、浄土真宗の教えの根本が詰まっている。


まず正信偈は「帰命無量寿如来」から始まる。ここでは、阿弥陀仏を讃嘆し、いかに阿弥陀仏の本願が勝れているかが説かれる。前期のレポートの課題にもなっていた「本願名号正定業、至心信楽願為因「の箇所がそれを代表している。


次の「法蔵菩薩因位時」の句より、釈尊がこの世にお出ましになった本意(出世本懐)と信心のすすめが示される。釈尊は、阿弥陀仏の信心を頂いたものは美しい白蓮華に例えて讃えられるが、同時にこのパートの最後である「難中之難無過斯」では、我々のような邪見と驕慢にあふれた悪い衆生は、その阿弥陀仏の信心を得る事すら大変に難しいと説いている。


ここからは依釈段と呼ばれるパートとなり、インド・中国・日本の三国において、浄土真宗の教えの基となる思想を紡ぎ展開してきた七人の高僧方について説かれる。


まずは第一祖であられる龍樹菩薩についてである。龍樹菩薩の思想でポイントとなるのは二つで、有無の邪見を離れて「中道」の真理を掲げたこと、そして仏教を「難易二道」に分けられたことである。有無の邪見を離れるというのは、空思想に繋がる。また仏教を難易二道に分けられたことで、自力ではなく、阿弥陀仏の他力により、易く救われる道を明らかにされた。


次に第二祖の天親菩薩は『浄土論』を著され、阿弥陀仏への一心願生の信と、五念門(礼拝門、讃嘆門、作願門、観察門、回向門)という五つの行をもって、浄土往生に依ると説かれた。ちなみに、初七日法要などで使われる『願生偈』という偈文は、この『浄土論』の一部を抜粋したものである。


第三祖の曇鸞大師は元々、当時の医学書にあたる『仙経』を重んじられていたが、三蔵菩提流支から浄土の教え(『観無量寿経』)を授けられ、本願他力の信仰に帰された。前述の、天親菩薩の『浄土論』を註解し、浄土に生まれる因果は如来の誓願に依ることを明らかにされた。つまり、浄土に生まれ往くのも(往相廻向)、仏となって衆生を救うために還り来るのも(還相廻向)、どちらも我々の自力ではなく、阿弥陀仏の本願他力に依るものであると明らかにされた。


第四祖の道綽禅師は、仏教を聖道門と浄土門に分け、釈尊が現世を離れてから長い時間が経ち(去聖遥遠)、そして人間の素質が落ち仏法を理解することが出来ない(理深解微)、そんな末法の時代には浄土門のみが迷いの世界を出る道であると明らかにされた。


第五祖の善導大師は、阿弥陀仏のご本意を明らかにされ、自力の善人や十悪五逆の悪人を哀れんで、光明と名号の因縁によって全てのものが救われることを説かれた。至誠心、深心、回向発願心からなる三心を説き、特に深心においては、自らを救われがたい凡夫であると深く信じる「機の深心」と、そんな凡夫をも阿弥陀仏は救ってくださるという「法の深心」という二種深心を説いた。大変有名な二河譬、南無阿弥陀仏の六字釈、そして南無を「帰命」と言い換えられたのもこの善導大師である。親鸞聖人の師匠である源空上人が特に影響を受けたのが、この善導大師であると言われているため、浄土真宗は善導教学とも呼ばれる。


第六祖である源信僧都は、称名念仏こそが誰でも修することが唯一の行であると明らかにされた。我々凡夫は煩悩によって眼を遮られてしまうが、それでも阿弥陀仏の光明はそんな我々を照らし護ってくださると説かれた。


そして第七祖の源空上人こそが、これまでの高僧方の教えを受け取り、『選択本願念仏集』を著された、親鸞聖人の師匠である。阿弥陀仏より信心を頂き、称名念仏するものは漏れなく救われることを説かれた。


正信偈の最後の四句では、改めてこれらの高僧方を讃えられ、その教えを授けられた恩徳に報謝すべきと説かれている。


正信偈は、浄土真宗では最も読まれる偈文である。私も小さい時から気付けば読んでいた、というくらい身近なものであったが、今年度の授業によってようやく意味を理解することが出来た。教行信証をすべて読むことは大変だが、正信偈だけでも浄土真宗の教えの根幹となる部分を学ぶことが出来る。晨朝法要や葬儀などで読むことが多いが、読んでいる我々自身も、改めて正信偈の中に説かれた親鸞聖人の御心を頂くことが重要であると感じた。

 

以上です!


明日は水曜日『仏教学』のレポートで、テーマは『無自性空と二諦説について』です!何だか難しそうなテーマですが、是非明日も読んでください。



南無阿弥陀仏

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