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古典の慣用と現代の常用

6/15のブログです。


こんばんは。

法善寺住職の中山龍之介です。


梅雨2日目でしたが、今日はそんなに雨は降らず。夕方ごろにゴロゴロと空が鳴って、大粒の雨がポツポツと降ってきたので、夕立が来るかな?と思いましたが、特にその後も雨は降らず。ただ近くには大雨注意報が出ていた地域もあったので、法善寺近辺がたまたま降らなかっただけなのかもしれません。


それにしても雷の音というのは、生物の本能に働きかける恐ろしい音です。犬なんかもすっかり大人しくなります。世の中の恐ろしいものを並べた『地震雷火事親父』という言葉がありますが、いち親父としてはそこに並べられるのはおこがましい話です。それだけ昔の親父たちは恐ろしかったという事なのでしょうか。時代に合った言葉に変わっていくと良いですね。


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古典の慣用と現代の常用

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さてそんな今日ですが、午後に少し書道をやりました。とは言っても筆は握っておらず、6月号の課題となる漢詩に出て来る文字を字典で調べておりました。

写真はその一部ですが、先生から言われてこんな感じで文字を調べていきました。毎月やってますと偉そうに言いたいところですが、地味に大変な作業なので毎月は出来ていません。先月と今月はやりましたが、その前は半年くらい前だったと思います。卒業に向けて、気合が入っているのかもしれません。


簡単に説明すると、一番上に横並びでいる文字たちが課題の漢詩に出て来る文字を現代の常用漢字で書いたものです。その下の数字が字典に載っているページで、さらにその下からが字典で調べた字体たちです。


可能な限り楷書→行書→草書という順番で、それぞれ2文字くらいをピックアップしようとしています。字典には、古典で使われた字のスキャンが載っていますので、昔からよく使われていた字であればあるほど、たくさんの字体が載っていることになります。


また、少し複雑な字体になっている場合はピックアップしないようにしています。まだそこまでの知識がない私が見様見真似でその字を書いてしまった場合、誰にも読めない字になってしまう可能性が高いからです。『分からない字は書かない』とは先生によく言われました。字によって私がピックアップした数が違うのは、そういった理由があります。


書道の場合、古典で慣用として使われた字体を採用することが多いです。この『慣用』と『現代の常用漢字』が違うことがあって、パニックにもなりますが、そこが書道の面白い所の一つだなと思います。この写真に出て来る字で言えば、『紫』『微』『陵』あたりがそうでしょうか。


『紫』で言えば、頭の『此』の部分が常用漢字とは全然違います。ただ古典では『此』はこの形で出て来ることがほとんどで、先日提出した蘭亭序でもこの形で登場します。つまり、私たちにとっては見慣れませんが、書道においてはこの形が慣用という事になります。


『微』は、『π』が『耳』の中の二本線を抜いた形になっています。『陵』は、『夌』が『麦』になっています。どの字も、古典で使われていた形が、なぜ現代の常用漢字の様な形になったのかは理由があるはずですが、さすがに全ての字でそこまでは追い切れません。


全ての字を調べた後は、創作においてどの字体を採用して構成するかを考えます。『ここは黒くしたいから楷書の形を採用しよう』とか『ここは流れで行きたいから草書を採用しよう』とか『草書が続くから行書を入れよう』とか、そんなことを考えていきます。偉そうに言っていますが、今日の時点ではまだそこまで行けていません。明日以降の作業となります。


大変ですし、腕もセンスも無いので辛いところですが、作り上げていく作業は面白いです。先生のお手本を写すだけでは得られない面白さがあります。卒業後の研究科ではよりこういった力が求められるはずですので、コツコツと頑張っていきます。


師範養成科卒業までついに10日を切りました。いよいよだなーという感じですが、書道が終わるわけではありませんので、引き続きのほほんと付き合っていこうと思います。このブログでもちょこちょこアップしていきますので、お楽しみにしてくださると嬉しいです。



南無阿弥陀仏

 

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