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訪う


こんばんは。

法善寺副住職の中山龍之介です。


今日は久しぶりに髪を切りに行ってきました。平日の空いている時間を目掛けて行けるのは、お坊さんの特権かもしれません。


コロナにビビってたわけではないのですが、何となくしばらく散髪には行けていなくて、美容師さんに聞いたら前回は5月26日でしたので約2ヶ月半ぶりです。こんなに空いたのは社会人になってから初めてかもしれません。おかげでさっぱりとしました。


どうでもいいと思いますが、最近は前髪を上げるスタイルがお気に入りです。広いおでこと上手く付き合っているつもりです。

 

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戸田葬祭場の灰供養

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さて、本日は散髪後に夕方から戸田葬祭場に行き、『灰供養』を行なってきました。耳馴染みのないワードだと思いますし、私も2年くらい前までは聞いたことがありませんでした。


火葬場ではご遺体を火葬して収骨して骨壺に収めるわけですが、どうしても全てのお骨を骨壺に収めることは出来ず、火葬炉に少しだけ残ってしまいます。これらを集めて年に1回埋葬しているのですが、これが『灰供養』と呼ばれています。お寺さんでもご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんし、もしかしたら地域や火葬場によって呼び方は違うかもしれません。


行う法要的には、年忌法要と同様です。レアケースもレアケースですので、特に決まりは無いんだと思います。


法善寺は住職が歴代、戸田葬祭場の監査役(だったかな?)を務めておりますので、そういったご縁の中で依頼されます。本来であれば父が出向くところですが、このような状況ですので私が伺わせていただきました。とは言っても、僧侶は私一人ではありません。


導師(法要のリーダー的存在)は、赤羽にある法善寺のご住職でした。うちと同じ名前のお寺ですが、私のひいおじいさんのお兄さんが作られたお寺です(細かく説明すると長くなるので別の機会に)。その導師さんが、法要の最後にお話をされたのですが、道綽禅師のお言葉を紹介されていましたので、ブログでもシェアしてみようと思います。


ちなみに道綽(どうしゃく)禅師とは、浄土真宗の七高僧のお一人で、中国の偉いお坊さんです。6世紀~7世紀の方ですので、約1400年くらい前ですね。『安楽集』という著書が大変有名で、今日もその中のワンフレーズが紹介されていました。

 

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道綽禅師のお言葉

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『前(さき)に生まれん者は後(のち)を導き、後に生まれん者は前を訪(とぶら)え』

 

現代語訳すると、『前に生まれた者は後に生きる人を導き、後の世に生きる人は先人の生きた道を問いたずねよ』という意味になります。あまり難しいことは言っていませんが、分かりやすくて良い言葉だなーと思いました。私はまだ32歳だからかもしれませんが、特に後半の部分に共感できました。


私より上の世代、特に父の世代の人たちなんかは、ほとんどの場合デジタル機器を上手く使えていません。LINEを上手く使えなかったり、フリック入力が出来なかったり、いまだにガラケーを使っている人もいます。


そんな人を見ると、『大丈夫かな?』と生意気ながらに思ってしまいます。よく父とも『LINE見ろよ』『気付かないんだよ』『気付かないってなんだよ』『仕方ないだろ』とケンカをしました。未読スルーや既読スルーはお手の物で、こちらのスピード感になかなか付いてこられません。


こういうことがあると上の世代を甘く見てしまうことがありますが、それは局所的な話です。確かにそういう一面もあるのかもしれませんが、これまでの長い人生を生きてきたという『経験』を持っているのは間違いなく、そこまで甘く見てしまうのは良くないなーと最近思っています。


事実、一歩デジタルから離れれば私の知らないことを山ほど知っています。一点だけを見て『こいつ大した事ねえな』と思ってしまうのは、反抗期の頃から自分は何も成長していないことを明らかにするだけです。まだまだ子供という事ですね。


確かに、昔と今では環境は大きく異なりますが、当時の成功体験を今の手法に変換することは可能です。なぜなら、人の特性は大きく変わらないからです(腹は減るし、楽しいことが好きだし、痛いことは嫌)。すごい身近な話で言えば、門徒さんとの関係を作るのに、前は会報誌だったけど、今はLINEも有効だよね、ということです。細かく言い出せばキリがありませんが、先人たちが知恵を絞りだして考え出した策は、いつの時代だってやっぱり侮れません。


幸いなことに、私の周りは『先人』だらけです。この環境に感謝の気持ちを持ちながら、謙虚な気持ちで学びを続けていこうと思います。

 

 

南無阿弥陀仏

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