ここではないどこかに、飛び出したい衝動
9/18 - 9/24の週ブログです。
こんばんは。
法善寺住職の中山龍之介です。
昨日、誕生日を迎えまして39歳になりました。メッセージやケーキをくださった方々、本当にありがとうございます。
いよいよ30代最後の歳を迎えたことに、自分自身驚いています。ついこの前高校生だった気がしますが、光陰矢の如しです。
そんな中での勝手なお知らせです。
このブログは基本的には敬体(ですます調)で書いておりましたが、これからは冒頭は敬体、それ以下、具体的には二重線が入ってタイトルが書かれているところより下は、常体(だ・である調)で書いていきます。
シビアな理由があるわけでもないのですが、もう40代が目の前に迫っている立派な中年のくせに、敬体では少し子供っぽいかなと思い、そんな決断をしました。
とは言え、ブログの前半部分では何かしらの案内をすることも多く、それを常体でやるのもおかしいのでハイブリッドです。自分の中での折衷案ですので、ご容赦くださいませ。
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ここではないどこかに、飛び出したい衝動
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読書生活を続けて一ヶ月が過ぎたが、順調に推移している。今週はお彼岸があったため一冊しか読めなかったが、そもそも少し読みにくい本だったので仕方がない気もする。年間100冊読むのはなかなかに難しそうだ。
さて、今週は『旅の効用 人はなぜ移動するのか』を読んだ。旅行が好きな自分にはうってつけの本だと思い、迷わず手に取った。ちなみに、本の装丁もかっこ良く、黄色好きにはたまらない。

ただ、タイトルを見たときに私がこの本に期待したものと内容は、残念ながら少し乖離があった。
旅をすることによってどんなことが得られるのか、なぜ人は旅行欲求があるのか、といったことが直接的に書かれていると期待していたが、どちらかといえば著者の旅行記に近い内容で、都市名などの固有名詞も多かったため、想定していたよりも通読に時間がかかってしまった。
それでも所々に旅をすることの意義が書かれており、それらは私の『ここではない、どこかに飛び出したい衝動』という、明文化できなかった感情を見事に書き表してくれていた。読んでいると、『だから自分は旅が好きなのか』と何度も腑に落ちた。
最初の衝撃はまえがきにあった。旅とは「人生に意義を求める日々の戦い」から距離を取る方策である、と書かれていたのだ。
私自身は旅のことを真逆、つまり『人生に意義を求めるためにするもの』だと思っていた。だから私はこの文を最初に読んだ時には読み間違いだと思い、何度か読み返してしまった。
ただ確かに、自分が『旅』と聞いて連想する過去の経験は、どれも人生の意義を求めるためにしたものではなかった。大学での留学(生まれ育った場所を離れたという定義であれば、十分に旅だ)という経験を取ってみても、様々な高尚な理由を並べてはみるものの、結局はそんなもので留学を決断したわけではない。
『飛び出したい』という衝動が、間違いなくあった。そしてその衝動は、留学中も、卒業して帰国してからも、結婚してからも、家業を継いでからも、子供が生まれてからも、常に私の頭の中にある。
ちなみに知人から、『龍くんは放浪癖あるよね』と言われたこともある。写真を撮るために夜に練り歩いているのも、そんな自分の衝動を少し満たすためなのかもしれない。
そういえば、大学時代の日本人の先輩で、『アメリカで働きたい』と言っている人がいる。とても大好きな先輩で尊敬もしているが、40歳にもなってなんとも浅い理由で仕事を決めてる、とてもかわいい人(良い意味で)だなと思っていた。
だがこの本を読んでいると、そんな先輩の気持ちが理解できた気がする。彼は今まで日本で働いていたが、要は『飛び出したかった』のだろう。そして彼は本当に、10月にアメリカへ飛び出していく予定で、来週送別会をする。
旅をすることは、時に大変なストレスになる。飛び出したい!と言って飛行機に乗ったくせに、着いた初日は大抵『こんなところで、あと数日も過ごすのか』と億劫になる。自分勝手というか何というか、安定安心の環境から離れたことを、少し後悔してしまうのだ。
ただそんな感情だって、一日もすれば吹き飛んでしまう。圧倒的な空気感、匂い、異文化。これらを毛穴から吸収すると、どんどん高揚感に包まれていく。きっと、遺伝子レベルで刻み込まれた本能なのだろう。
決して私だって世界中を回ったわけではないが、インドやアメリカに行ったことで自分自身の知恵が広がり、世界に対する理解度が深まったのは間違いない。
本で見る世界、テレビやスマホで見る世界は、実際の世界とは全く違う。ニュースやSNSで伝えるほど、世界は悪くないと思える。
この本の著者はスウェーデン人で、ユーラシア大陸を主に列車で旅している。そんな著者の人生を読んでいると、自分がもしお寺に生まれていなかったら、もし島国に生まれていなかったら、一体どういう生活を送っていたのかと想像を巡らさざるを得ない。
私は、そもそも恵まれた環境にいるから旅行が好きになったのかもしれない。反対にもしかしたら、ジプシーみたいな人生を送っていたかもしれない。ただ結局は無い物ねだりをする性格なので、そんな妄想をしても意味はないのだが。
私と同じように、『ここではない、どこかに飛び出したい衝動』をお持ちの方には、この本をお勧めする。今にもユーラシア大陸を列車で旅したくなるはずだ。
ブログをお読みいただき、ありがとうございます。来週は『ひとはなぜ戦争をするのか』と、他にもう一冊くらい読もうと思います。あ、最後は敬体に戻ってしまいました。
南無阿弥陀仏
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