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コービーありがとう。


こんばんは。

法善寺副住職の中山龍之介です。


今朝起きてFacebookを開くと、あるニュースが飛び込んできました。


『コービー・ブライアントがヘリコプターで事故死』


一瞬で目が覚め、あまりのことに信じられず、正直今でも受け止めきれていません。



私と仲の良い方はご存知かと思いますが、私はコービーが一番好きな選手です。


私がNBAを見始めたのは2001年頃。バスケ部の友達に教えてもらい、雑誌やビデオを見ていく内にどんどんのめり込んでいきました。


そんな2001年頃、NBAで最も強かったチームが、コービーのいるレイカーズでした。その頃はシャキール・オニール(シャック)という選手が中心で、コービーはまだ第2の男でしたが、若さと身体能力、そして自信に満ちたプレーで、時にはシャックをも凌駕するプレーを見せていました。


そしてそんなNBAを見始めの頃、私が一番好きな選手はアイバーソンでした。180cmほどの小さな体で大きな相手に立ち向かっていく姿、小さかった当時の自分を投影してとても憧れていました。そんなアイバーソン率いるシクサーズに立ち塞がるのがレイカーズでしたので、当時はコービーのことが嫌いでした。


ここから少し、コービーのキャリアを振り返らせていただきます。何も見ず、記憶だけを頼りに書きますので間違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。


2000-2002年の3シーズンに渡りスリーピート(3連覇)を果たしたレイカーズでしたが、コービーが大黒柱であるシャックに台頭していき、チームのバランスが崩れます。そしてとうとう2004年にチームはほぼ解散となり、残ったのはコービーと一人の脇役の選手(デバン・ジョージ)だけとなりました。あとは総入れ替えです。


コービーは、シャックに頼らず一人の力でもう一度優勝を果たすことを目標に頑張っていましたが、NBAはそんなに甘くなく、うまくは行きません。新体制で迎えた翌シーズンはプレイオフにすら出場できず、その後はプレイオフに出場できても1回戦を突破できないシーズンが続きました。


そして2007-2008年シーズン、ポウ・ガソルという選手が加入したことによりチームはがらっと変わります。


一人だけでチームを勝たせることに限界を感じていたコービー。新加入のガソル以外にも頼れる仲間を揃えたレイカーズを率いて、このシーズンは勝ちまくります。個人賞としては、初となるMVPを獲得し、チームは2004年ぶりのファイナルに進出します。


ファイナルの相手はセルティックス。ちなみにこの時のファイナル第3戦を私は見に行きました。見に行った試合は勝ちましたが、残念ながらシリーズでは負けてしまい、2002年ぶりの優勝はなりませんでした。


その悔しさから、チーム力をさらに向上させたレイカーズは翌シーズンもファイナルにたどり着き、今度はマジックを破って優勝。コービー中心の体制となっては初めての優勝です。


そして次のシーズン。またしてもファイナルまで辿り着いたレイカーズ。相手は2008年に破れているセルティックスです。同じ相手に2回も負けたくない、と間違いなく思っているコービー。もっと言えば、このシリーズで負けてしまえば、キャリアで優勝を4回していても『セルティックスには勝てなかった選手』というレッテルを貼られてしまいます。そんな事は私が言うまでもなく理解しているでしょうから、コービーが感じたプレッシャーは凄まじかったと思います。


シリーズは最終戦の第7戦までもつれ込みます。勝った方が優勝という極限の試合です。競り合いながら迎えた終盤、大事な局面でボールを持ったコービーにダブルチームが仕掛けられます。そこでコービーは空いている味方(ロン・アーティスト)にパスを出し、その選手が見事にスリーポイントを沈めました。更に、最後は別の味方の選手(サーシャ・ブヤチッチ)が勝ち越しのフリースローを沈め、2連覇を果たしました。


私がこのファイナルで最も記憶に残っているのは、上記の2つのシーンで味方の選手がシュートを放った時のコービーの表情です。おそらく2004年あたりのコービーなら、ダブルチームが来ても自らシュートを放っていたと思います。そんな彼が味方を頼りパスをし、味方がフリースローを打つ姿を心から信頼した顔で見ている。そのシーンから、コービーの精神的な成長を見ることができて、とても感動しました。



NBAには素晴らしい選手はたくさんいますが、それでも優勝を果たせずに引退していく選手も少なくありません。そんな中コービーは、チームにも恵まれキャリア序盤で早々に優勝を果たしました。しかも3連覇です。そこから一度はどん底を味わうもまた這い上がり2連覇を果たしました。このほぼ全てのストーリーを、私はリアルタイムで追うことができ、そのおかげで、最初は嫌いだったのに気が付けば大好きな選手になっていました。


コービーの好きなところを挙げればキリがありませんが、やっぱり一番はそのメンタリティです。ニックネームである『Black Mamba』にかけて『マンバ・メンタリティ』と呼ばれていますが、勝利への飽くなき闘志が大好きです。敵にいたらこれほど嫌な選手はいなく、味方であればこれほど頼りになる選手はいません。


言葉を選ばず言えば、『変態』的に自分に厳しく、一切の妥協を許さない。そんなコービーの姿勢を見て、一体どれほどの人たちの限界値が上がったことか。これはバスケやスポーツに限りません。辛いことがあっても『コービーならこれくらい乗り越える』と思って自分の限界値を上げる、私もそういうマインドで辛い局面を乗り越えられたことが何度もありました。


私は、NBAにはスター選手はたくさんいても、スーパースターは極々少数だと思っています。バスケやスポーツという枠にとらわれない、多岐にわたって影響力を持つ選手です。90年代で言えばマイケル・ジョーダン。現役選手で言えばレブロン・ジェームスだけだと思います。


そしてもちろん、コービーもスーパースターです。引退したあとも、スポーツアカデミーを立ち上げて後身の育成に努めたりすることで、バスケ界だけでなく他の競技からもリスペクトされている存在です。



そんなコービーが、本日の日本時間早朝にヘリコプターで墜落死。言葉になりません。まだまだやるべきこともありました。


あの自信満々の笑み、憎らしい表情、あれがもう見られなくなると思うと涙を止められません。


今日は正直、仕事をするのもキツかったです。調べものをするためにインターネットを開けば、嫌でもコービーのニュースが入ってきます。その都度ぼーっとしてしまい、そして段々と『現実なんだ』と理解するようになりました。


それでも、どんな状況でも手を抜かないという『マンバ・メンタリティー』を心に刻みながら、今日を乗り越えました。これもコービーのおかげです。


思いを書ききることはできません。今回の事故で、本当にこの世界は無常なんだということを、改めて思い知らされました。今日過ごせた一日が、明日も過ごせるとは限りません。一日一日を、これまでよりも大切にしながら生きていきたいと思います。


ありがとう、コービー。


You have been, and will be my best hero ever. Thank you, Kobe.




南無阿弥陀仏

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