気温の感じ方

こんばんは。

法善寺副住職の中山龍之介です。

 

本日、東京では久しぶりに最高気温が30℃を超える真夏日となりました。ちなみに最高気温が25℃を超えると夏日、30℃を超えると真夏日、35℃を超えると猛暑日というそうです。反対に、最高気温が0℃を下回ると真冬日、最低気温が0℃を下回ると冬日というそうです(気象庁HPより)

 

昨日まではしばらく夏日の範囲の日々でしたので、久々の真夏日は暑く感じます。しかし7月や8月になって猛暑日が出て来ると、今日みたいな真夏日はあまり暑く感じないはずです。むしろ、夏日なら涼しく感じるかもしれません。天気予報を見ると、しばらくは真夏日が続きそうです。今年初の猛暑日はいつ頃になるのでしょうか。今から恐ろしいです。

 

・・・すいません、夏日・真夏日・猛暑日を言いたいがために変な文章を書いてしまいました。

 

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ネブラスカで感じた『暖かさ』

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さてさて、『変な文章』とは言いましたが、つかみの文章を受けて今日は書き進めていこうと思います。きっと着地は仏教のお話です。お付き合いください。

 

私は大学時代、アメリカのネブラスカ州というド田舎にある大学に通っていました。州自体がド田舎ですし、私が住んでいたKearney(カーニー)という町は人間よりも牛の数の方が多い町でした。メインストリートも2本だけで、今考えるとよくあそこに4年間も住んでいたなと思います。

 

ネブラスカがどのくらい田舎かというと、留学中にノースカロライナ(ここだってそこそこ田舎)のおばさんの家に行ったときに、とある機会に現地のアメリカ人に『ネブラスカにある大学に通ってるんだ』と話をしたら、『Corn field, huh?(あぁ、トウモロコシ畑の州ね)』と言われるくらいです(説明長くてすみません)。

 

また、前職時代にはアメリカ人の上司的な人に『ネブラスカは通ったことあるけど停まったことは無い』と言われました。どちらも反論できません。そんぐらい田舎です。

 

そんなド田舎のネブラスカは、夏は暑く冬は寒い土地でした。こう聞くと最悪な土地に聞こえますが、夏の暑さはカラッとしていて、真夏日くらいの気温なので気持ちよかったです。ただ、冬はとてもきつかったです。

 

冬の最低気温はマイナス20℃になることも珍しくなく、風が吹けば体感はマイナス40℃くらいになります。鼻から息を吸えば鼻毛が凍り、寝不足の時には何回も地面で滑って転びました。

 

しかしそんな寒さも、何日も続くと慣れてきます。最初は命の危機も感じるほど(次の授業のある建物まで辿り着けるか不安になるほど)でしたが、慣れると普通に日常生活を送ることが出来ます。鼻毛が凍るのを楽しめるほどの余裕が出てきます。

 

そうなると、今度は最高気温が0℃の日が暖かく感じられます。家から一歩出たときに、『今日は良い天気だなー』とか思ったりします。東京に住んでいたら間違いなく凍えるほどの寒さである『0℃』、数字は変わらないのに人間の感じ方は、その環境によって大きく変わってきます。

 

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アリゾナで感じた『涼しさ』

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また、留学中のいつかの夏休みに、アリゾナ州にあるトゥソン(Tucson)という町に行ったことがあります。1ヶ月間、全く何の目的もない滞在で、廃人のような生活を送っていました。おそらく、ぎゅっと縮めれば3日間くらいの内容にしかなりません。それでもいい思い出です。

 

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、アリゾナ州はアメリカでは南部に位置し、夏はとにかく暑いです。最高気温が40℃を超えることが普通にあって、トゥソンも例外ではありません(ちなみに、40℃超えを『●夏日』という風に表す正式な言葉は、まだないそうです)。

 

初日は着いたのが夜だったのであまり暑さを感じられませんでした(湿度が低いので朝や夜は比較的涼しい)。しかし、2日目のお昼ごろに滞在先のホステルから一歩出たとき、暑すぎて思わず天を仰いだことを今でも覚えています。『こんなところで一ヶ月も・・・』という、自分で決めたくせに罰ゲームさせられている気持ちになりました。

 

滞在先のホステルには清掃時間が決められており(確か10時~14時とか)、その時間帯は外に出なければいけません。つまりは一番暑い時間帯に外に放り出されるわけです。私は彷徨うようにショッピングモールや図書館を転々としていました(完全に浮浪者)。

 

しかし、そんな土地でも日中に涼しさを感じる瞬間がありました。

 

それはずばり、にわか雨の直後です。雨によって地面が冷やされ、それによって気温が下がるからです。しかし、気温が下がったとは言っても37℃くらいで、東京で住んでいたら外を歩きたくなくなるような気温ですが、その時はそれが涼しく感じました。

 

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気温の感じ方 まとめ

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東京に住んでいれば『0℃=寒い』や『37℃=暑い』と言った固定概念が形成されます。しかし、これらもあくまで相対的なもので、『絶対的な寒さ』や『絶対的な暑さ』というものは存在しないんだという事が、自分のこの2つの経験から理解することが出来ます。

 

つまりは、気温を感じること一つをとっても、『縁起(この場合は、その人が今まで生きてきた環境)』によってその感覚が形成されている、という事です。

 

なので私は、夏には『Tucsonの夏の方が暑かった』と思い、冬には『Kearneyの冬の方が寒かった』と思うようにしています。だからと言って、すぐには体が順応するわけではありませんので心ばかりの気休めですが、、、

 

今回は『暑さ・寒さ』を例にとってみましたが、この縁起の捉え方を『幸せ・不幸』とか『良い・悪い』とか『好き・嫌い』とかに変換して考えてみると面白いかもしれません。心持ち一つで、環境は変わらなくても幸せを感じられたり、嫌いな人が良い人に見えてくるかもしれません。

 

仏教的心の実践、是非お試しください。

 

 

南無阿弥陀仏

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